カウンセラーのブログ【blog】

近年、オンラインでカウンセリングを受けられる相談機関はかなり増加しています。

2019年12月以降の新型コロナウイルス（COVID-19：以下「コロナ」と表記）の感染拡大に伴って、オンラインでのカウンセリングのニーズが高まったことが要因の一つだと考えられます。

感染拡大が始まった当初は、コロナに罹ってしまうことで、周囲から不当な扱いを受ける事例があるなど、身体的な症状に併せて精神的な苦痛を被る可能性があるとして「コロナうつ」という症状が提唱されたように、コロナ罹患に伴う心理的ケアの必要性が非常に高く、オンラインカウンセリングが推奨されるに至りました。

2023年5月からは、コロナも２類相当感染症から5類感染症へと移行し、現在では季節性インフルエンザと同様の対応となり、コロナに感染することの特別性も薄れてきたように感じられますが、引き続きオンラインでのカウンセリングの需要は高いと感じられます。

今回は、オンラインカウンセリングについて、お受けいただく場合のメリットとデメリットについてお話しいたします。

〔メリット〕

①外出が難しい症状でも受けられる

何よりもまず、一番のメリットとして挙げられるのは、外出が難しい症状であっても受けられることです。コロナをはじめとして、身体症状や精神症状によって外出が難しい場合でも、ご自宅にてカウンセリングを受けることができます。

②治療場所を気にせずに受けられる

直接カウンセリングルームに出向く必要がないので、自宅から遠方であっても相談者が受けたいと思う心理士のカウンセリングを受けることができます。また、引っ越しなどの物理的な制約からカウンセリングが中断になってしまうことも防ぐことができます。

③費用面で安く受けられる場合がある

交通機関や車などを使用して、カウンセリングルームまで移動する必要がないので、その分の交通費を省けます。そのため、カウンセリングを受けるに当たって必要となるトータルのコストを安く抑えることができます。

〔デメリット〕

①治療効果が低くなる可能性がある

カウンセリングを行う際に、カウンセリングルームという治療空間は、カウンセリングの治療効果を高める作用があると言われています。カウンセリングルームという非日常の治療空間はプライバシーが守られおり、日常生活で誰にも相談できない内容をしっかりとお話しいただくための最適な環境です。そのため、オンラインでは通常の対面カウンセリングで期待できる治療効果よりも低くなる可能性があると言われています。

②情報量が制限され対応に影響が出る

カウンセリングにおいて、心理士は相談者の方から得られる言語的・非言語的な情報を受け取りながら、お話を伺っています。例えば、辛かった話を笑顔も交えながら気丈に話して下さっている相談者のお話を伺っているとします。オンライン上でカメラから見える相談者の表情を見ると、「表情も明るいので、そこまで辛い内容ではない」と心理士は判断してしまうかもしれません。しかし、カメラの画面外では、話をしている相談者の膝上に置かれた手は小刻みに震えていて、身体は無意識に辛さを訴えているもしれないのです。このように、オンラインでは相談者から得られる情報がかなり制約されており、適切な判断ができない可能性があります。

③事前の準備が必要になる

オンラインでカウンセリングを受けるためには、オンラインミーティングのアプリ等を事前にインストールすることをはじめとして、通信環境を整えていただく必要があります。また、それ以上に大切なことは、ご自宅においてご自身のプライバシーが守られる環境を作っていただくことです。ご自宅といっても、同居しているご家族がいる場合には、自室で受けていただいたり、自室がない場合は他のご家族が留守の時間で受けていただくようお願いしています。このように、カウンセリングルームで準備されている枠組みを、オンラインでは相談者ご自身で整えていただく必要があります。

以上のことから、カウンセリングの治療効果を期待するのであれば、出来る限りカウンセリングルームにお越しいただく方が良いと考えています。一方で、〔メリット〕でも挙げたように「身体的な症状や精神的な症状によって外出が難しい場合」は、オンラインカウンセリングを受けるしかありません。

そこで、オンラインカウンセリングのデメリットを解消しつつ、対面カウンセリングの治療効果を得られる第3のカウンセリングとして、当相談室では「訪問カウンセリング」を導入しております。心理士が出張する形のカウンセリングですので、通常のカウンセリングと比べるとコストがかかりますが、訪問カウンセリングの専門性を有した心理士が質の高いカウンセリングをお届けいたします。